抗インターフェロンγ自己抗体測定について

抗インターフェロンγ(抗IFN-γ)自己抗体の測定は熊本大学で行っています。
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抗IFN-γ抗体は結核や肺NTM患者などでも認められますが、中和能は伴わないと報告されています(1)。AOIDにおける抗IFN-γ抗体は中和能を伴います。本邦ではELISA法による抗IFN-γ抗体の相対的定量と、STAT1のリン酸化の定量により中和能の定量評価の測定系が開発されました(2)

図:相対的定量法(ELISA)
ヒトIFN-γをコーティングしたプレートに血清または血漿を添加し、抗ヒトIgG抗体を二次抗体としてELISAを行い抗IFN-γ抗体を測定した。
図:播種性NTM症と健常者
健常者や抗IFN-γ抗体陰性の播種性NTM症例と比較し、抗IFN-γ抗体陽性の播種性NTM患者で抗IFN-γ抗体価の有意な上昇を認めた。
図:IFN-γ Signaling
IFN-γは白血球細胞表面のIFN-γレセプターを経由した細胞内シグナル伝達の下流の転写因子であるSignal Transducer and Activation of Transcription 1 (STAT-1) のリン酸化を誘導する。リン酸化されたSTAT1は核内に移行し、転写因子として遺伝子発現を制御する。
図:全血を用いた評価
全血中の白血球を各濃度のIFN-γで刺激したあとのSTAT1リン酸化の有無をフローサイトメトリーで検出した。
健常者ではIFN-γの用量依存的に白血球でSTAT1のリン酸化が増加した。一方、血液中に中和能を持つ抗IFN-γ自己抗体が存在した場合には、添加するIFN-γ濃度を上昇させても白血球でSTAT1のリン酸化が生じなかった。
図:保存血清、血漿を用いた中和能評価
健常者(●)では濃度が上昇するにつれてSTAT1のリン酸化強度は増強したが、IFN-γ抗体陽性の播種性NTM症例(◯)ではリン酸化が検出されなかった。播種性NTM(dNTM)と健常者(HC)肺NTM症(pNTM)肺結核(pTBC)の比較では、dNTMではリン酸化が検出されず、IFN-γ中和能を保持していた。

Reference List

  1. Aoki A, Sakagami T, Yoshizawa K, Shima K, Toyama M, Tanabe Y, et al. Clinical Significance of Interferon-gamma Neutralizing Autoantibodies Against Disseminated Nontuberculous Mycobacterial Disease. Clin Infect Dis. 2018;66(8):1239-45.
  2. Shima K, Sakagami T, Tanabe Y, Aoki N, Moro H, Koya T, et al. Novel assay to detect increased level of neutralizing anti-interferon gamma autoantibodies in non-tuberculous mycobacterial patients. J Infect Chemother. 2014;20(1):52-6.